大判3Dプリントにおけるアモルファスおよび半結晶性熱可塑性樹脂の主な違い、およびそれらのユニークな特性が加工、機械的強度、表面仕上げ、用途適合性にどのように影響するかを学びましょう。
積層造形(AM)は、製造業界に変革をもたらしている急速に進化する技術です。AMとは、固体ブロックから材料を除去する減法製造プロセスとは対照的に、材料を層状に積み重ねて3Dオブジェクトを作成するプロセスを指します。
用途に最適な3Dプリント素材を選ぶことが、最適なユースケースを見つけるための第一歩です。CEADの大判3Dプリントソリューションでは、主に短繊維強化熱可塑性プラスチック(SFRT)を使用しています。SFRTはすべて、マトリックス材料と繊維から構成されています。この材料の熱可塑性マトリックスは、繊維を所定の位置に保持する「接着剤」の役割を果たし、最終的な機械的および熱的特性、および材料の耐薬品性に最も大きな影響を与えます。そのため、使用される2種類の熱可塑性ポリマー、すなわち非晶質と半結晶性の違いを理解することが重要です。
非晶質材料
非晶質材料では、分子構造は無秩序で規則正しい繰り返しパターンがありません。分子は長距離秩序や周期性を持たずにランダムに配列されています。分子レベルでのこの無秩序さが、非晶質材料の特性である透明性、低い融点、ガラス状の外観につながっています。規則正しい繰り返し構造がないため、結晶部分が形成されることはありません。
利点:
1. 加工が容易:非晶性ポリマーは一般的に融点が低いため、大判3Dプリンターでの加工が容易です。
2. 滑らかな表面仕上げ:3Dプリントパーツの表面仕上げが滑らかで、細部まで精密に仕上げることができるため、用途によっては重要です。
3. 透明性:医療機器や透明な筐体など、光学的な透明性が求められる大判3Dプリント用途に有用です。
短所:
1. 機械的強度の限界:非晶性ポリマーは、半結晶性ポリマーと比較して機械的強度が低くなる傾向があり、荷重に耐える用途には適していません。
2. 半結晶性材料:結晶性材料は、高度に秩序だった繰り返し分子構造を持っています。結晶性材料の原子または分子は、特定の繰り返しパターンで配列されており、そのパターンは材料全体にわたって長距離にわたって広がっています。この整然とした配列が、高い機械的強度や明確な融点など、結晶性材料の特性を生み出しています。 半結晶性ポリマーは、その名の通り、結晶部分を持つ非結晶構造であり、2つのタイプの組み合わせです。
利点:
1. 高い機械的強度:半結晶性ポリマーは一般的に、より高い剛性や強度など、優れた機械的特性を備えています。
2. 耐薬品性:多くの半結晶性ポリマーは、化学物質や環境要因に対して高い耐性を備えています。
短所:
1. 加工温度が高い:これらのポリマーは加工温度が高く、大型の3Dプリンター機器では難しい場合があります。
2. 適正温度範囲が狭い:大型の3Dプリンターで部品を製造する上で重要な要素は、層間の結合の質(層間強度)です。この結合強度を最適にするには、前の層が最適な温度でなければなりません。そうすれば、分子が新しい層の分子と再配列する一方で、変形することなく新しい層の重量を支えるのに十分な強度を維持することができます。この温度範囲は、非晶質材料よりも結晶部分があるために狭くなり、そのため品質管理や加工が難しくなります。
3. 表面仕上げ:3Dプリントされた部品の表面仕上げが粗くなる可能性があり、外観を改善するための後処理が必要になる場合があります。
4. 透明性の限界:半結晶性ポリマーは一般的に不透明であるため、光学的な透明性を必要とする用途での使用が制限されます。
5. 寸法安定性の低さ:結晶領域があるため、ポリマー素材は非等方的に収縮する傾向があり、プリント中の寸法安定性が低くなります。
非晶質と半結晶性熱可塑性プラスチックの選択
結論として、非晶質と半結晶性熱可塑性プラスチックの選択は、用途の特定の要件に基づいて行うべきです。これらの素材の明確な長所と短所を理解することは、大判3Dプリントパーツで望ましい性能と品質を実現するために不可欠です。